自動車部品などを中心に、「高精度な部品を大量生産したい」というご要望にお答えするためにダイカストという鋳造方法が選択されることがあります。 このコラムでは、そんなダイカストの概要と他の鋳造方法との違いについてご紹介いたします。
目次
④ダイカストのことならダイカスト加工センター.comにお任せください!
ダイカストとは?
ダイカストとは、溶かした金属を精密な金型の中に高速で充填したのちに圧力をかけ、冷やし固めることで短時間で鋳物を生産する鋳造方式の一種です。
高い圧力をかけて成形するため寸法精度に優れ、また金型を使用するため表面も滑らかになる点が特徴的です。 また、強度も優れており他機械による仕上げ工程も少ない点からVAやVEにつながることも見込まれ、自動車関連用品を中心に様々な業界で活用されています。
なお、ダイカストの「ダイ(Die)」は「金型」を、「カスト(Cast)」は「鋳物」を指し、ダイカスト法によって得られる製品に関しても同様に「ダイカスト」と呼ばれます。
他の鋳造方法との違い
ダイカストの他にも「砂型鋳造法」「重力金型鋳造法」「低圧鋳造法」など、鋳造方法はいくつもありますが、ダイカストの優れている点は、
・短時間で大量生産できる
・寸法精度に優れ、鋳肌が滑らかである
・薄肉製品に向いている
という3点が挙げられるでしょう。
一方、デメリットとしては、
・金型を最初につくる必要があり、少量生産の場合は費用増につながる
・パイプ形状など、アンダーカットのある製品の成形は不得意である
などが挙げられます。
下記に他の鋳造方法の概要についても簡単にまとめましたので、ぜひ併せてご確認ください。
1)砂型鋳造法
砂型鋳造法とは、砂で作った鋳型に溶かした金属を流して鋳物を成形する方法です。
鋳造のたびに鋳型を作る必要がありますが、鋳型一つの製作コストが安く、設備も少なくて済むため、少
量生産に向いています。
また、形状も自由度が高く、複雑な形状や大きな鋳物の成形が可能な点も特徴です。
一方、寸法精度が悪く、鋳肌面も粗いというデメリットもございます。
2)重力金型鋳造法
重力金型鋳造法とは、砂型鋳造法と違い、鋳型を金属で作って溶けた金属を流し込む鋳造方法です。
その名の通り、溶けた金属の自重に任せて鋳型の中に鋳込んで鋳物が成形されます。
砂型鋳造法に比べて寸法精度や鋳肌は優れていますが、複雑形状や大型の鋳物成形にはあまり向いていま
せん。
また、鋳型の製造費用がかかりますが、繰り返し使用が可能なことから中量生産以上に向いているといえ
るでしょう。
3)低圧鋳造法
低圧鋳造法は、重力金型鋳造法と同様に金属の鋳型を用いた鋳造方法ですが、重力ではなく空気圧を用い
て鋳込むという点が異なります。
ひけ巣やガス欠陥などの内部欠陥が少なく、寸法精度も高い鋳物を成形することが可能です。
また、押湯を不要とするため、鋳物の鋳造歩溜まりがよいという特徴もあります。
デメリットとしては、金型の温度が高く冷却に時間がかかってしまうため、鋳造サイクルが長くかかって
しまい生産性が低い点が挙げられます。
このように鋳造方法ごとに得手不得手があり、短時間で大量生産したい、薄肉で寸法精度が優れた鋳物を生産したいという場合は、ダイカスト法による鋳造が優れていると考えられます。
ダイカスト加工センター.comの製品事例をご紹介!
続いて、ダイカストによる製品事例について、ご紹介いたします。
1)ブラインドコーナーモニター用リアケース(自動車業界、アルミダイカスト)
こちらは、車のフロントグリル(ラジエーターグリル)を中心に、ナンバープレートやフロントバンパーなど車体の先端に取り付けるフロントカメラのケースです。ねじ穴を形成するためのタップ加工などの加工処理により鋳巣が繋がってしまい、鋳造段階でリーク不良が発生してしまう恐れがありました。そのため湯回りの改善を行い、タップ加工部に極力鋳巣が発生しないようにいたしました。
2)ガスコック部品(住宅設備業界、亜鉛ダイカスト)
こちらは、一般住宅などに使用されるガスコックの部品で、ガスコックという部品であることから気密性が非常に重視された製品です。
そのため、鋳巣や湯回り不良が発生しないよう注意しながら加工を行うとともに、出荷に際してはリーク検査も合わせて実施いたしました。
また、外観部品であるためメッキなどの表面処理や組付けなどにもワンストップ対応いたしました。
3)培養冷蔵庫のハンドル(医療業界、アルミダイカスト)
こちらは、研究所や医療現場などで使用されている、微生物などを培養するための超低温冷蔵庫のハンドル部品です。
こちらについても外観部品となるため、外観バフかけ、外観磨き、シルバー塗装まで、入念な管理体制のもと実施いたしました。
特に、ハンドルのパーティング部に段差が無いようには厳しくチェックして製作いたしました。
いかがでしょうか?
このように、ダイカストでは様々な鋳物を生産することができます。
そのほかにも、ダイカスト加工センター.comでは様々な事例をご紹介しておりますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。
ダイカストのことならダイカスト加工センター.comにお任せください!
今回はダイカストの概要と他の鋳造方法との違いについてご紹介させていただきました。
鋳造の中でも、薄肉で寸法精度に優れた鋳物を短時間に大量生産できるダイカストは、自動車部品を中心に様々な製品の生産に活用されています。
皆様の機械部品やその他製品なども、ダイカストによる生産に変更することで、コストダウンや品質向上につながることもあるかもしれません。
最後に、ダイカスト加工センター.comでは、ダイカスト加工への工法転換を通してVA・VEの実現をご提案しております。
ダイカストに関して、VA・VE提案・工法転換提案から試作・量産までワンストップで対応が可能なダイカスト加工センターまでお問い合わせください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!