スライドコアとは、ダイカストで使用する金型の開閉の動きに合わせて金型内部でスライドしている部品のことです。こちらの記事では、そのスライドコアについてご紹介いたします。
スライドコアとは
スライドコアとは、ダイカスト鋳造で利用する金型の開閉の動きに合わせて金型内部でスライドする部品のことです。成形品を金型から取り出す際、離型が難しい凸凹形状を離型できるようにするためのアンダーカット処理方法として使用されます。ダイカスト鋳造において欠かすことのできないものです。
また、複雑な形状の鋳造で使用される金属部品で、摩耗を原因とする不良のケースが多いため、こまめなメンテナンスが必要となります。
スライドコアの部品
スライドコアを正しく稼働させるためには、次の3つの部品を利用します。
スプリング
スライドコアは、金型を開いた際にアンギュラピンによって後方に下がります。スライドコアが後方に下がり切ると、アンギュラピンはスライドコアから外れます。
このとき、スライドコアが自身の重さなどによって、型閉じとは関係なく前方に戻ってしまうことがあります。製品を押し出す前にスライドコアが前方に戻ってしまうと、アンダーカットは処理できず、成形品や金型の破損につながってしまいます。
そこでスプリングを設定し、スプリングの力を利用してスライドコアが前方に戻らないように支えます。スプリングを設定することで、スライドコアが成形品から離れやすくする効果もあります。
ガイドレール
ガイドレールは、スライドコアがスライドする際に、上下のがたつきを押さえ、その動きをガイドする役目をします。スライドコアを正面から見ると、両側にツバが付いています。そのツバをガイドレールで押さえることで、上下のがたつきを防ぎます。
スライドストッパ
スライドコアは金型の開閉の際に「アンダーカットの量+α」分、移動させる必要があります。ただ、この移動量以上に、スライドコアが移動し過ぎてしまう可能性があります。そうすると、型閉じ時にアンギュラピンや固定側の型板などがスライドコアに干渉してしまい、金型の破損につながってしまう場合があるため、ストッパを設定します。
スライドストッパにはブロックや既成品を使ったりしますが、一番よく用いられるのは、ボルトの頭をストッパとして利用する方法です。スライドストッパは、スライドコアのストローク量に対して0.5mmぐらいプラスした位置に設定します。ボルトの位置がストローク量より短いと、アンギュラピンがスライドコアから抜け切らず、スライドコアや金型が破損する原因となります。
ダイカストの製品事例
ハイブリッド車用エクステンションコネクタ
こちらは、ハイブリット車で活用される「ハーネス用のエクステンションコネクタ」です。2005年から量産開始、何度か設計変更しながら現在も適宜設計・開発を進めています。
3本の筒がある形状をしていますが、設計上この側面にしかゲート(湯口)が設定できません。そのため、筒を形成するスライドと金型が溶損しやすく、溶接されないよう十分に注意した鋳造を行っています。
ダイカストのことなら、ダイカスト加工センターにお任せください!
こちらの記事では、ダイカストのスライドコアについてご紹介いたしました。
ダイカスト加工センターを運営する株式会社アトライズヨドガワでは、国内外の自動車部品や住宅設備メーカー様向けに、ダイカスト品を納入してきた実績を基に、最適な材料選定や、ダイカストへの工法転換など様々な提案を行っております。アルミのみならず、亜鉛とマグネシウムのダイカストにも対応可能です。
ダイカストに関して、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
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