ダイカストにおけるかじりとは、ダイカスト金型から製品を取り出す際、金型やダイカストの表面に発生する傷のことです。こちらの記事では、そのかじりの原因と対策を紹介いたします。
ダイカストのかじりの原因
かじりの発生原因としては以下の3点が考えられます。
金属同士の接触
1つ目は、大きな力による金属同士の接触です。大きな力で金属同士が接触すると、強度の低い金属、もしくは粘りの強い金属は変形してしまい、もう一方の金属に付着します。それを剥がした際に、強度の低い金属側の表面に傷が発生します。
2種類の金属の直接接触
2つ目は、2種類の金属の直接接触です。金属同士は通常、酸化被膜で覆われており、直接接触することはありません。しかし、焼付きが発生すると酸化被膜が流失してしまい、化学的に金属同士が結合します。これを引き離した際に傷が発生します。
金属を引き離した際に発生する離型力
3つ目は、2種類の金属を引き離す際に発生する大きな離型力です。離型力とはダイカストから中子を引き抜いたり、エジェクタピンでダイカストを押し出したり
する際の力のことです。
離型力は鋳造圧力や金型の凹凸、中子へ抱きつく収縮力、エジェクタピンの摺動抵抗など様々な要因によって決まります。この離型力により、金属を引き離した際に傷が発生します。
ダイカストのかじりの対策
かじりを防ぐためには、様々なかじりの発生原因を考慮し、各管理項目を適正化することが重要です。
例えば、
・金型の変形をなるべく防ぐために金型の定期的なメンテナンスを行う
・ヒートチェックや焼き付きの発生を抑えるために適正な金型材質の選定や冷却管理を行う
・金型の鋳造圧力・速度を適正化し均一に充填されるように調整を行う
・抜勾配を管理し抵抗の調整を行う
・離型剤を調整し、離型力や抵抗の調整を行う
などがあります。
ダイカストの製品事例
ハイブリッド車用エクステンションコネクタ
こちらはハイブリット車で活用される「ハーネス用のエクステンションコネクタ」です。
3本の筒がある形状をしていますが、設計上この側面にしかゲート(湯口)が設定できません。そのため、筒を形成するスライドと金型が溶損しやすく、溶接されないよう十分に注意してダイカストを行っています。
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今回は、ダイカストにおけるかじりの原因と対策についてご紹介いたしました。
当社では、かじりを始めとした様々なダイカストにおける不良に対しての知見を基にあらゆる対策を行っています。
また、VA・VE提案や工法転換提案など、様々な提案を行っており、試作・設計段階からのご相談を数多くいただいております。
ダイカストに関して、お困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!