ダイカスト法によって製品を製造する際、ダイカストの性質によって金型には様々な損傷が発生することがあります。今回は、ダイカスト金型損傷の種類とその対策をご紹介したいと思います。
目次
① ダイカストとは?
④ ダイカストのことならダイカスト加工センター.comにお任せください!
ダイカストとは?
ダイカストとは鋳造方式の一つで、鋳型(金型)の中に溶かした金属を高速で充填し高い圧力をかけることで、精度の高い鋳物を短時間で生産する鋳造方法です。
ダイカストは高い量産性と精度を持っているため、自動車関連や家電用品、OA機器など幅広く使われています。また、材料としてはアルミニウム合金、亜鉛、マグネシウム合金、銅合金などが主に使用されています。
ダイカスト金型損傷の種類について
ダイカストは、ショットごとに高温の溶湯を高速で金型キャビティに填充され、その後水冷及びに離型剤スプレーが使用されるため、金型は高温から急速冷却させることを繰り返しています。そのため、ダイカストは微細な鋳造組織が得られると同時に、金型は様々な損傷を受けてしまいます。
ダイカストの金型は、損傷に至らなくても、急速加熱、冷却によって熱変形が発生し、必ず不良品になるとは限りませんが、ダイカストの寸法精度や外観品質に影響を与えることになります。
ダイカスト金型の損傷は、主に下記の三種類に分けることができます。
・熱応力、熱疲労の熱的作用に起因するヒートチェック(クラック)・型割れ
・金型と溶湯の反応などの化学的・冶金的作用に起因する焼付き、溶損
・摩擦や応力変形などの機械的作用に起因する、かじり・変形・折損・へたりなど
これらの損傷は、ダイカストの寸法精度や外観品質に影響を与えるだけでなく、金型の寿命にも大きな影響を与えますので、発生した金型損傷に応じて対策を講じる必要があります。
ダイカスト金型損傷の対策について
続いて、ダイカスト金型損傷の対策について、ご紹介したいと思います。
①ヒートチェック(クラック)
ヒートチェック(クラック)は、亀甲状の比較的微細なクラックのことで、一部には表面の脱落も観察されることがあります。
ヒートチェック(クラック)の対策としては、金型に起因する場合、適切な金型材料の選定、表面傷の残らない金型加工仕上げ、窒化処理などの適切な表面処理などに留意することや、外部冷却の抑制、離型剤の塗布量や塗布時間などの適正化が有効です。
②型割れ
金型の切欠き部や、鋭角部などの応力集中しやすい場所や冷却孔内部から発生する割れを型割れと呼びます。また、鋳造の初期に発生することから早期割れと呼ぶこともあり、比較的小さなクラックであるヒートチェック(クラック)と区別するため、グロスクラックや大割れなどと呼ばれることもあります。
型割れ対策としては、金型の強度向上、金型の分割やR部の多用による応力集中の防止、冷却孔のツールマークや加工段差などの除去、内冷却孔への熱応力の衝撃、繰り返し作用することの防止や、冷却水への腐食防止剤の添加などが有効です。
③焼付き
焼付きは、金型キャビティ表面や錆抜きピンなどに鋳造合金が反応層に伴って化学的に溶着している状態のことで、圧漏れ、離型の妨害などの原因になります。
焼付きの対策としては、金型材質の選択、金型冷却の強化、金型の表面処理などがあります。また、鋳造条件の適正化、高温付着性のよい離型剤の選定などが有効です。特に金型表面処理と加熱部に対する冷却が重要です。
④型侵食(溶損)
型侵食は、鋳造合金により金型表面が侵食されることで生じた凹みのことです。
型侵食の対策としては、ゲートの位置・厚さを最適化して、溶湯が金型に高速で衝突することを防止するなどの方法があります。また、鋳造温度の適正化も必要です。
ダイカストのことならダイカスト加工センター.comにお任せください!
今回は、ダイカスト金型損傷の種類とその対策をご紹介させていただきました。
ダイカスト金型損傷を明確化させ、損傷の種類に応じて対策を講じることは一番大事なところです。
今回の記事では、ダイカストの金型不良について解説しましたが、以下の記事ではダイカストの鋳造品不良に関して詳しく解説しております。こちらの記事もあわせてご覧下さいませ。
最後に、ダイカスト加工センター.comでは、金型の損傷対策に関してご提案しておりますので、ダイカスト加工についてのお悩みは、ぜひダイカスト加工センター.comまでお問い合わせください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!