ダイカスト法によって製品を製造する際、ダイカストの性質によって特有の鋳造欠陥が発生することがあります。
今回は、ダイカスト特有の鋳造欠陥とその対策をご紹介について、ご紹介したいと思います。
目次
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ダイカストとは?
ダイカストとは鋳造方式の一つで、鋳型(金型)の中に溶かした金属を高速で充填し高い圧力をかけることで、精度の高い鋳物を短時間で生産する鋳造方法です。
ダイカストは高い量産性と精度を持っているため、自動車関連や家電用品、OA機器など幅広く使われています。
また、材料としてはアルミニウム合金、亜鉛、マグネシウム合金、銅合金などが主に使用されています。
ダイカスト特有の鋳造欠陥
ダイカストは、高速で金型キャビティに填充され、高圧の環境で短時間に冷却されるため、微細な鋳造組織が得られる同時に、ダイカスト特有な鋳造欠陥が発生します。
もちろん、欠陥が発生したとは言え鋳造品は必ず不良品になるとは限りませんが、ダイカストの品質に影響を与えてしまうことは確かです。
ダイカストの欠陥は主に下記の三種類に分けることができます。
・寸法上の欠陥
欠け込み、伸び尺違い、型逃げ、はぐみ、変形、鋳バリ
・外部欠陥
ヒートチェック傷、未充填、湯境、湯じわ、湯模様、焼付き傷、型侵食傷、かじり傷、外びけ、逆ばり、
ふくれ、はがれ、めくれ、打こん、表面編折、二重のり、冷間割れ、熱間割れ、ひけ割れ、ゲート部の巣
・内部欠陥
ブローホール、隅ひけ巣、ひけ巣、ざく巣、金属性介在物、マクロ偏析、破断チル層、ドロス巻き込み、
酸化膜巻き込み、ハードスポット
ダイカストは、金型の設計や使用される素材、ダイカストの加工温度などによって、発生する欠陥の種類が変わりますので、発生した欠陥に応じて対策を講じる必要があります。
ダイカストの金型損傷について詳しく解説した記事もありますので、合わせてご覧ください。
ダイカスト加工でよくある欠陥の対策方法
続いて、ダイカストでよく発生する代表的な欠陥の対策について、ご紹介したいと思います。
ぜひ、皆様の使用されている製品でも欠陥等ございましたら、照らし合わせてご確認いただければと思います。
1)鋳バリ
鋳バリは、金型の分割面や押出ピンなどの隙間に溶湯が侵入して発生した薄膜状の張り出しのことです。
鋳バリが発生すると、製品の肉厚、質量が増加し、仕上げのコストも増えてしまうと同時に、金型の清掃、メンテナンスにも負担かかります。
対策としては、射出速度と充填圧力を減らすことがまず挙げられます。
また、金型の材質や構造を変更することで金型の剛性を上げることも有効な一手です。
2)未充填、湯境、湯じわ
未充填は、金型キャビティに完全な充填が行われず、ダイカストの一部に欠肉が発生した状態を指します。
発生する要因としては、鋳造温度が低い場合、射出スリーブ内での冷却により溶湯温度が低下した場合、または充填時間が長く充填完了前に凝固する場合などが挙げられます。
湯境は、ダイカスト表面において溶湯が完全に融合せず境目が形成されるもので、境目の縁または丸みを帯びているケースが多いです。
湯境は、溶湯温度が低い場合や、合流箇所が完全に溶解されない場合などに発生します。
湯じわとは、ダイカスト表面に生成する不規則な浅いしわのことを指し、製品の薄肉部分やガス抜けの悪い箇所などによく発生します。
未充填や湯境同様、発生要因は金型の温度が低い場合や、溶湯温度が低い場合、流動中に温度が下がり酸化膜が形成する場合です。
また、ガスや空気の排気が悪い場合にも発生する恐れがあります。
これらの未充填、湯境、湯じわの対策としては、射出スリーブ内で溶湯の温度低下防止、流動中の温度低下防止、給湯開始から射出開始までの時間(ショットタイム)や射出時間などの短縮を行うなど、設計から鋳造の段階で、注意する必要があります。
3)ひけ巣
ひけ巣は、ダイカストの内部に生じる粗い内壁をもった空洞のことで、主に溶湯の凝固収縮によって形成されます。
多くの溶融した金属は凝固するときに体積が減少し、減少分がそのまま空洞として残ってしまうというわけです。
対策としては、ゲートの位置、厚さ、断面積などの最適化や、圧力の調整、鋳造温度の変更などが挙げられます。
また、製品の肉厚を一定にすることや、キャビティ配置の適切化など設計段階の工夫が重要となります。
4)ブローホール
ブローホールとは、ダイカストの内部に生ずる平滑な内壁をもった空洞のことで、ひけ巣と箱となり、内部が空気や潤滑剤、ガスなどが閉じ込められることによって形成される空洞を指します。
ダイカストは他の鋳造方法に比べて射出速度が非常に早く、空気を溶湯に巻き込みやすいため、こういったトラブルが発生することもあります。
空気を巻き込むか、潤滑油・ガスを巻き込むかによって適切な対策方法は異なり、空気の巻き込みに対しては、射出スリーブの充填率を上げることが主な対策となります。
また他にも、オーバーフロー、エアベントの位置、大きさの調整や、射出速度、金型内部の圧力の調整も同時に考えて対策いたします。
潤滑剤・ガスの巻き込みに対しては、潤滑剤の種類を変えることや塗布量の低減など、ダイカスト前の設計段階での注意が必要となります。
ダイカストの鋳造欠陥のことならダイカスト加工センター.comにお任せください!
今回は、ダイカストでよくある欠陥とその対策についてご紹介させていただきました。
ダイカストの欠陥は多くの種類が存在しますが、欠陥が発生したとはいえ、必ずしも不良品になるとは限りません。
とはいえ、欠陥がないに越したことはございませんので、製品の使用上、性能上、強度上に問題になるかどうかをあらかじめ考慮し、設計する必要があります。
プロに相談することで、小さな欠陥まで解決することもあるかもしれません。
最後に、ダイカスト加工センター.comでは、ダイカスト加工への工法転換を通してVA・VEの実現をご提案しております。
ダイカストに関して、VA・VE提案・工法転換提案から試作・量産までワンストップで対応が可能なダイカスト加工センターまでお問い合わせください!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!